エンゲージメントを向上して、若手社員の離職を防止したい(医療N社)

背景

N社は全国に事業所展開する医療系企業で、従業員数は現場の社員含め2万人を超えているが、現場の社員や30代の担当層の離職による
人材不足に悩んでいたところ、ご相談をいただいた。

調査を実施したところ、SVやエリアマネージャーが各地に点在する複数の事業所を巡回するなかで、
月に一度も訪問することが出来ない事業所が発生し、事業所内の課題を相談できず、孤立してしまっていることや、
現場のサポートをするSVやエリアマネージャーのマネジメントスキルにばらつきがあるといった課題を認識した。

若手離職の現状

厚生労働省の調査によると、新規学卒就業者の就業後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が38.4%(前年度と比較して1.4ポイント上昇)、
新規大学卒就職者が34.9%(同2.6ポイント上昇)となっている。
過去20年、新規学卒者の早期離職率は30%前後で推移している。
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)

初めて勤務した会社を辞めた理由については
〇「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」:28.5%
〇「人間関係がよくなかった」:26.4%
〇「賃金の条件がよくなかった」:21.8%
〇「仕事が自分に合わない」:21.7%
といった結果になっている。
初めて勤務した会社を1年以内に辞めている人は「人間関係がよくなかった」ことを理由として最も多くあげている(37.4%)。
厚生労働省 令和5年若年者雇用実態調査の概況

退職まで至らずとも、対人関係で強い悩みやストレスを抱えている労働者は多い。
人間関係が原因で、離職する若手が多いなか、就労人口の減少や人材育成のコスト増などの影響もあり、
離職防止・エンゲージメント向上のための施策は重要性が増している。

実施したコンサルティング内容

・会社独自のエンゲージメントの定義策定
・エンゲージメントサーベイの質問項目の設定と結果分析
・エンゲージメントサーベイの結果を踏まえた分析
・1on1ミーティング研修

会社独自のエンゲージメントの定義策定

課題解決のためのゴール設定のために、「よい職場の状態=エンゲージメントが高い状態」として、よい職場の状態とは何かから議論を開始。

従業員アンケートや経営層へのヒアリングも併せて行い、クライアント独自の「エンゲージメント」を定義した。

エンゲージメントサーベイの質問項目の設定と結果分析

クライアントのエンゲージメントの定義に合わせて、弊社システムの「PETⅡ=Passion Evaluation TestⅡ」の質問項目などを参考に、カスタマイズのエンゲージメントサーベイの質問項目を設計。

社員のエンゲージメントの状態を定点観測でモニタリングすることで、現状の把握・改善施策の検討・実施をおこなう。

エンゲージメントサーベイの回答を集計し、事業所別・年齢別・職種別に分析を行う。
集計・分析結果を経営層、管理職層を中心にフィードバックを行い、現状を理解していただく機会を設置。

また、質問項目は都度見直しを行い、より効果的なエンゲージメントサーベイを実施。

1on1ミーティングを通したコミュニケーション強化

離職のもっとも大きな原因となっていた社内コミュニケーションの課題を解決するため、
1on1ミーティングを制度として導入。
頻度や実施方法など明確にルールを設定し、「1on1ガイドブック」も併せて作成

評価フィードバックについても、各マネージャー毎に実施のばらつきがあったため、1on1を導入と合わせて制度化。1on1実施時に評価の目標設定やフィードバックを行う。フィードバックを実施しやすくするために評価項目を整理。

1on1ミーティングの効果的な実施方法や、実施する上での疑問や不安の解消するための研修を実施。会話の具体例やグループディスカッションを通じて、マネジメントスキルの底上げを図る。

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