意中の就活生、企業が指名 特色・志望把握や接触、ネットで ベネッセが専用サイト
大学新卒の採用活動で、企業が意中の学生に絞ってアプローチできる採用手法が広がっている。ベネッセホールディングス(HD)は5日、学生と企業を直接結びつける専用サイトを開設する。企業が学生に説明会などの参加を直接働きかけられる。今年の採用活動は山場を越えたが、来年以降も学生優位の「売り手市場」が続くなか、新卒採用の効率を高める動きが強まりそうだ。
転職支援のパーソルキャリア(旧インテリジェンス、東京・千代田)と共同出資するベネッセi―キャリア(東京・新宿)が専用サイト「DODAキャンパス」を5日に開設する。同日から学生の登録を始め、9月から本格的にサービスを開始する。2017年度内に8万人の利用を見込む。
パナソニックや日産自動車など約3300社が登録し、17年度中に約4000社まで増やす。「逆求人」や「スカウト型」と呼ばれる大学生向け専用サイトの登録企業数で最大規模となる。
学生は1年生から原則無料で登録できる。個人ページに授業やアルバイト、留学などの経験といった自己アピールや希望業界を記入。自身の思考力や性格を測る診断テストも無料で受けられる。
企業はサイトに登録すると学生の個人ページを閲覧できる。学生時代の経験や性格などを見て、自社に入社してほしい人材だけにメールなどでアプローチする。
具体的には会社説明会やインターンシップ(就業体験)などへの参加を働きかけ、自社への理解を深めてもらい採用面接の応募につなげていく。ベネッセHDは成果報酬型の料金体系を採用し、企業側は専用サイトを通じて採用した学生1人あたり30万円を支払う。
従来の採用活動では、企業は会社説明会などを通じて、不特定多数の学生から面接の応募を受け付けている。
深刻な人手不足を背景に企業の採用活動は売り手市場が続き、企業が欲しい学生を獲得することが難しくなっている。自社に合った学生を効率的に採用したいという企業ニーズが高まり、人材サービス各社は逆求人型のサービスなどを相次ぎ強化している。
新卒採用支援のアイプラグ(大阪市)は企業と学生のマッチングサービス「オファーボックス」の導入企業数を19年までに2700社から5000社に増やす。
日本経済新聞(2017.7.5)より抜粋