運送・建設 働き方是正 政府、8月メドに方針
政府は29日、運送、建設業の働き方改革を進める連絡会議を首相官邸で開いた。長時間労働の是正に向け、8月をめどに方針をまとめる。両業種は他業種に比べると、労働時間が長く働き方も変則的なため、政府が3月にまとめた残業上限規制では適用を5年間、猶予していた。政府は早急に対応策をまとめ、猶予期間中の実施を目指す。
国交省などの関係省庁が出席し、両業種の労働実態を協議した。運送業では荷主の都合で待機時間が発生することなどで、労働時間が全業種平均を約1~2割上回る。建設業も工期の都合に左右され、長時間労働が起こりやすい。両業種とも、こうした労働条件の過酷さから人手不足が深刻だ。
同会議は今後、両業種の働き方をどう是正するかの検討作業を本格化する。運送業では共同配送の促進や再配達を減らすための取り組みを進める。建設業では週休2日を前提に、適正な工期設定を促す指針をまとめるほか、情報通信技術(ICT)を使った発注工事なども推進する。こうした方針を8月にまとめる予定だ。
政府が3月にまとめた働き方改革実行計画では、原則として全業種で残業を年間720時間、繁忙月は特例で100時間未満まで認める上限規制を決定した。秋の臨時国会で労働基準法の改正案を提出し、2019年度までに適用する方針。だが、人手不足が深刻な運送、建設業では法施行後5年間の適用猶予期間を設定しており、他業種とは別に対応を協議することになっていた。
日本経済新聞(2017.6.30)より抜粋